白狐様の秘密
お昼休みになった。
お弁当を持ち1人でとぼとぼ歩いている秋雨さんを見つけた。
「秋雨さーん!一緒にお弁当食べよっ!」
「あ、うん…。えっと、あなたは?」
「…ハッ!そう言えば自己紹介してなかったんだ。ごめんね、私は月下咲羅だよ。咲羅って呼んで?」
「ありがとうさくらちゃん。私もかりんって呼んでね」ニコッ
神様、私はこの可愛い小動物をどうしたらいいんでしょうか。
「あ、あのさくらちゃん…?」
「ご、ごめんごめん。考え事…あはは。
あ、そう言えばどうしてかりんは私と話してくれたの?ほかの人が話しかけても逃げるようにいなくなってたのに。」
「そ、それは…。」
「ごめん。私でよかったらいつでも相談して?話くらいなら聞けると思うし!」
「ありがと、さくらちゃん。」
「うん!」
かりんといると時間がゆっくりすぎていく気がする。
となりにいると安心するし、話すと心がぽかぽか温かくなってくる。
肌寒い窓の外をぼーっと眺めていると、琥珀くんが女の人と一緒に帰っていった。
あの女の人どこかで見たことあるような。
でも、琥珀くんは学校サボったことなかったし、いつも私のそばにいてくれた。
そう言えば今日は1度も私のところに来てくれなかった。
でも、自分から行かない私も悪いんだけど…。
それにしてもなんだろこの気持ち。
すっごくモヤモヤする。
「さくらちゃん、聞いてる?」
「あ、ごめんね。それでなんだっけ?」
「もぉ~。」
それからと言うもの琥珀くんはほとんど毎日と言っていいほど女の人と帰るようになった。
モヤモヤする気持ちはどんどん膨らむ一方、かりんと過ごす日々が多くなった。
「ねぇ、さくらちゃん。」
「んー、なーに?」
「さくらちゃんって神堂くんのことすきでしょ?」
「えっ?そ、そんなこと、ないよっ…。」
「そうかなあ。いっつも神堂くん見かけてはため息ついてるよ?」
「え!私ってそんなに見てた?」
「うん、とっても。」
「そっかぁ、かりんには隠し事は通用しないね。」
私はかりんに琥珀くんが狐だと言うこと以外全て話した。
「う~ん。さくらちゃん鈍感だなぁ。」
「え、なにが?」
「けどね、それはさくらちゃんが自分で言わないといけないの。私が言ったところで相手には伝わらない。だから勇気をだして自分の口から言うのよ?」
「…はい。」
「大丈夫よ!さくらちゃんの話を聞く限り、神堂くんはさくらちゃんのこと相当想ってるよ!自信もって、ね?」
「うん、でもこのモヤモヤってなんだろ。」
「それはきっとヤキモチよ。」
「や、ヤキモチ?」
私、琥珀くんがいなくなるとこんなにも不安になるなんて思ってもなかった。
「全部、私が答えを出したらいけないから、沢山悩んで、沢山考えて、さくらちゃんに合った答えを見つけてね!私、応援してるからっ!」
「ありがと、かりん!」
ほんと、かりんに相談してよかった。
今まであったモヤモヤは全て消えたとは言いきれないけど、かりんと話してすごく楽になったかも。
私が、恋、ねぇ。
想像つかないや。