白狐様の秘密
said.黒川涼
「おーい、咲羅。」
「………。」ボーッ
「咲羅っ!」
「わぁっ!!びっくりした!」
最近こいつぼーっとしてる事が多い。
白が近くにいないので寂しいのか?
こいつが元気ねーとなんか落ち着かねえな。
「そんなに落ち込むなよ。あいつも仕事が入ってるんだよ。」
「分かってるよ…」
いやいや、分かってねーだろ。
めちゃくちゃ拗ねてんじゃねえか。
「今日は転校生ちゃんが来るってよ。仲良くなれるといいな。」
「うん。」
すると、先生が入ってきた。
「席につけー。今日は転校生がきたぞ。おーい、入ってきていいぞー。」
ガラガラガラ
おいおい、まじかよ。
勘弁してくれよ。めちゃくちゃ可愛いじゃんか。
時間が止まったかのように動けなくなった。
「は、はじめまして…。秋雨、かりん、です…。」
聞き取れるか取れないかくらいの小さい声だったけど、俺にははっきり聞こえた。
小さく震えるその体は、まるで小動物のようだ。
すぐにでも抱きしめたいところだが、いきなりそんな事をしたら嫌われるのも分かってるし、様子を伺うことにした。
キーンコーンカーンコーン
昼休みになり、案の定、かりんの周りにはたくさんの男どもがたかっている。
返事はしているものの、男に慣れていないのか周りを見渡し助けを求めているようにも見える。
よし、ここは俺の出番だな。
男に囲まれている彼女の元へ歩み寄った。
「おい、嫌がってるだろ。やめてやれ。」
男どもは俺の顔をみるなり、顔を真っ青にして逃げていった。
そんな怖い顔してなかったはずだけどな笑
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございますっ」ニコッ
一瞬だけど見れた笑顔。
俺の一目惚れした瞬間。