白狐様の秘密
やっときたお昼休み。
私はかりんをいつもの校庭のベンチへ連れていった。
涼も付いてこようとするから、必死にとめたら不機嫌そうにどこかへ行ってしまった。
「ねえ、かりん。唐突に聞くけど、涼といつからそんなに仲良くなったの?」
「私が転校初日のときに男子に絡まれてたでしょ?あの時助けてくれて…」
モジモジし始めるかりん。
その仕草は守ってあげたくなるほど可愛い。
「助けてもらったから仲良くなったの?」
「そ、その後ね、お礼を言おうと思って追いかけたの。そしたらまた違う人たちに絡まれて…。そしたら、涼くんが助けに来てくれて…」
「うん。」
「放課後どっか行かないかって誘われて、2回も助けて貰ったから断るのも申し訳なくて。一緒に行くことにしたの。」
涼のとこをかりんはほんのり頬を染め、幸せそうな顔をして話している。
「カフェに寄ってね、お話してると楽しくて…もっと涼くんのこと知りたいって思っちゃって…。たぶん、す、すきに、なっちゃった、かも…。」
ギュッ!
我慢出来ずに思わず抱きしめちゃった私。
「さ、さくらちゃん?」
「ごめん、可愛くてつい。告白はしたの?」
「そ、それは…ま、まだ、かな。」
すると、タイミング悪くこちらへ向かって歩いてくる不機嫌そうな涼。
「おい、話はまだかよ。」
「大丈夫だよ。もう終わったからっ。」
かりんはすぐに涼の元へ駆け寄ると、優しく微笑みかけた。
ほんの少し涼の顔が赤く見えたのはきのせいだろうか。
2人の恋が実るのはもう少し先のお話。
「咲羅。大事な話がある。」
心臓が高鳴る。
嫌な予感がする。
「白のところに行くぞ。ただし、何を見ても怒らないこと。分かったな。もちろん、かりんも来いよ?じゃ、放課後な。」
それだけ言うと校舎の中へ入っていった。