トップシークレット
「和紗はあの人ととても似ているわ」

母はよくそう言った。

髪をかき分けると少し茶色がかっていて、笑うときの目尻が下がる。
怖いもの知らずで決めたことは突き通す芯の強さ。

私にはわからないけれど、母がそう言うのならそうなのだと思うようになった。


堂園一茂の隠し子の立場でこんなことは叶わないとわかっているのだけれど、1度で良いから会いたい。

でもこれは、本当の父親に会いたいという娘の純粋な気持ちじゃない。
世間を…いや、母をここまで虜にする堂園一茂を自分の目で確かめてみたいだけだ。





「和紗?なにぼーっとしてるの、行くよ」

実里の声で現実に引き戻される。

「待ってよ実里!」

私はテレビ画面から目を逸らし、彼女の背中を追いかけて走った。
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