素直にバイバイが言えるまで
ーーだって私は龍吾より5歳も年上だよ


それは、私にとって、1番のプレッシャーだった。


ぼんやりしていると冷蔵庫の警告音がピーピーと鳴り、ハッとして思わず乱暴にドアを閉めてしまった。


私は仕方なく、ジャガイモを剥き始めることにした。


歳のことで気が引けていた。


だから、もしもこの先、たった今口にした『結婚』という未来が待っていることに期待しちゃったら?

何もかも上手くいかなくなったら?


ーー私はその悲しみを、どこにぶつけたらいいのかわからなくなっちゃうよ、きっと…


そう思うと、ジャガイモを剥いている段階で涙が出そうになった。
< 11 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop