素直にバイバイが言えるまで
泣きそうになるのを我慢していると、鼻がツーンとして痛かった。


黙々と作業をするフリをして龍吾を盗み見ると、いつも笑って見ているはずのテレビ番組を、黙って眺めているだけだった。


リラックスしていないその背中から、間違いなく張り詰めた空気が漂っていることを察した。


押しつぶされそうな気持ちを、動かない背中を見つめて思う。


ーーそしたら私はそのとき何歳になってる?


伝えられない心の叫びで、胸が苦しかった。


フラれて結婚がダメになっら、そんな年下と付き合うからだよ、なんて、まわりに言われるオチまで浮かぶ。




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