素直にバイバイが言えるまで
突然、龍吾が振り向いた。

私の思いが読まれているみたいで、ビックリした表情で龍吾を見てしまった。

すると、

「もしかしてオレと結婚したくない?」

「えっ?……」


ーー嬉しいって言うなら今だ!


「あ、うん。そんな感じ」


そう言い終えて、速攻で台所にクルッと向き直り、興味すらなさそうな態度と、茶化すような声色で返事をしただけだった。

ーー最低だ私


時間は戻らない。


龍吾にリクエストされた大好物のカレーが辛いのか甘いのか、何度味見してもわからなかった。


ーー最低なアマノジャクだ、私…


後悔しても、悪いのは間違いなく私だった。



ーー出ちゃった、アマノジャク




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