STEP BY STEP
結香は私の顔を伺いながら、無理… そう言いたげな顔で首を振る。
それでも、結香の恋は見つけてもらえないまま終わってしまう。
そんな涙は見たくない、友達だからそう思う。
「 結香、このまま帰ろう、真史君も方向同じだから 」
そう言うとホッとしてる。
それも笑顔で。
それから結香は真史君を見つめながら、私には笑顔で話ながらいた。
思うのは、この笑顔を真史君に見せてほしいと思う事。
結香なら、真史君に振り向いてもらえる。
そんな笑顔の持ち主だから。
しばらくして自宅付近まで来て、真史君が鍵を回し始めた。
願うのは、落とせ!強く念じてみた。
運とは、時として結果を生む。
「 …あ! 」
「 あっ…… 」
真史君の回していた鍵が宙を飛び、運が結香に味方した。
鍵をキャッチした結香。
正直、これはあり得ないと思ってみたが、真史君が振り向いた。
「 すいません、鍵… 」
「 あ、うん。はい、もう飛ばさないでね 」
結香の顔は笑顔。
私は真史君の顔を見て、わかった。
「 結香先輩、ありがとうございます 」
真史君… 結香を見てる。
目が違う……
「 どういたしまして。いつもモテてるね 」
結香が会話をしようとしてる。
でも、私にはわかった。
結香は手を後ろに回してたから、緊張から来る小さな震えを隠してると。
「 モテててはないと思うけどな~ 」
「 ううん、私知ってるよ、真史君にハート投げてるたくさんの女子がいるって 」
結香、あなたもその一人でしょ……
そう突っこみたかった。
「 結香先輩は好きな人いるんすか?」
「 えっ… な、なに、私? 」
私には予想外な真史君の質問。
私の勘からして、真史君は結香の笑顔に惹かれたと感じた。
でも、いきなりの質問。
結香は手を後ろから前に、顔にあてて真っ赤になっていく。
「 あ、すいません、聞いただけなんで大丈夫っすよ 」
「 ううん… 」
言え、玉砕しても私が慰める!
だから、奇跡の花になって結香!
たくさんの女子がいるなかの一人じゃなくて、真史君の特別な奇跡の花になって!
私は好きな人を目の前に照れて貝のようになってる結香の背中を わざと、押した。
何照れてんのよー! って言って押した。