メトロの中は、近過ぎです!
「だとしたら急いでインテリアも揃えなきゃね。ということで忙しいからまたね。伊藤ちゃん」
「原田さん。本当にもういいですから…」

大野さんが麻紀さんから距離をとった。

「戸田、佐々木。親睦会やるとしたら来るか?」

大野さんに聞かれて、

「それは……はい、大野さんがやるって言うんなら、っすよね?真帆さん」

戸田君は歯切れ悪く私に振ってくる。

「私は、別に、そうですね。大野さんがやるって言うなら……」

同じく私も歯切れが悪かった。

麻紀さんがニッコリ笑うのが見えた。

「来週から本格的に忙しくなるんだから、土曜日にしない?」
「そうですね…」

大野さん、何を考えてるんだろう。

「決まり!じゃあ私が中川君たちに聞いてくるね」

麻紀さんが会議室に戻ろうとすると、大野さんが止めた。

「俺が言ってきます」

そのまま会議室に走っていく。

「あんたやりすぎじゃない?」

そんなチーフの声を無視して、麻紀さんが私に近づいてくる。

「彼ね、今からがすごく大事なときなの。私がサポートするから、佐々木ちゃんも協力してね」

まるで仕事のことを話しているようだけど、実際は手を出すなって言ってるように聞こえる。
イヤとは言えない雰囲気にして……


大野さんは、本社の人たちと帰って行った。

戸田君が
「真帆さん。負けないでください」
って言ってきたけど、そんなレベルじゃないと思う。

何より大野さん本人が麻紀さんを側に置くことを望んだんだろう。
麻紀さんのあの態度は自信に溢れていた。

は~、土曜日がくるのが憂鬱でしょうがない。
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