メトロの中は、近過ぎです!
「言うなよ伊藤」

ちらりとチーフを見た南主任。

「ハラマキのずっと前のターゲットは南さんだったの」

チーフは嬉しそうにバラした。

「えー?!そうなんですか?」

大野さんと私は同時に主任を見た。

「はぁ。もう昔の話だよ。でも俺と原田は似てるからアイツの考えが読めるんだよ。原田もそれを感じてさっさと本社に行ったんだけどな…」

知らなかった。
二人にそんな過去があったなんて……

「大野。原田の弁当旨いだろ」
「……はい」
「あれは、落ちそうになるよな」
「なりますね」

男同士、肩寄せあっている。
なんだこの二人。
結局、麻紀さんの罠にはまってるんじゃない!

「だから、おまえは原田には勝てないんだよ。原田がいるかぎり4課はまとまらないだろ」
「でも、松尾課長は原田さんがいた3課をまとめてたんですよね?」
「松尾課長はハラマキの扱いが上手いからね」
「あー。やっぱ俺には難しいってことですかね?」

「まぁ、大野にはできないだろうな。川端の件があったばかりだからな……」

突然出てきたその人の名前に、私は持っていたグラスを落とした。
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