メトロの中は、近過ぎです!
ここから始まる
「なんで大野さんの荷物まであるの?」

懐かしい浦安のマンションのエレベーターの中、大野さんは私のボストンバッグと自分のスーツケースを持っている。

「おまえが不便だろうと思ってさ」
「いや、全然一人で大丈夫だけど」

エレベーターが6階に着くと私よりも先に出た大野さんが、私の先を歩いて私の部屋の前で待っている。

すごく慣れた感じでそんなことをされると、これまで何度くらい大野さんがこの部屋に来たんだっけと気になり始めた。

「早く開けろよ」

そんなことしてたからもたついただけなのに、

「大丈夫か?」

心配そうな顔が間近にあった。

「大丈夫だよ」

焦りながらも鍵を開けて、久しぶりの我が家へ入る。

「おまえの部屋、なんか落ち着くよなー」

そんなこと言いながら、私より先に大野さんがどかっとソファーに座った。

「うん。やっぱ我が家が1番落ち着く」

私もソファーに座る。
どちらからともなく繋がれた手が暖かい。
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