メトロの中は、近過ぎです!
「遅くなりました」

コーヒーとシステムノートを持ってミーティングルームに入る。

まだ何か言いたげだったチーフと、真っ赤な鼻をした沙也香ちゃんが同時にこっちを見た。

今日の遅刻のことを謝り、その後の前田ホームさんからの受注を伝え、コーヒーをそれぞれの前に置く。

「遅くなりましたけど、定例会おねがいします」

そう言った私に、チーフは一つ息を吐いて、「そうね。定例会始めるよ」と言って、足を組み直した。

沙也香ちゃんは、私を見て微笑んだあと、「はい」と答えた。
目だけで「ありがとう」と言った沙也香ちゃん。
私もそうだったから気にしないで。

オフィスの方を見ると、まだ課代と戸田君がこっちを見ていたから、ニッコリ笑ってうなづいてみせた。

戸田君はぺこりと頭を下げると、「あー良かったー」
って口がそう言ってる。

課代も爽やかな顔でうなづいてくれた。

その熱い性格から、指導には熱が入るチーフに泣いたこともあったけど、それよりもたくさんのことを教えてもらった。
沙也香ちゃんにも公私ともにフォローしてもらっている。

ほんと、この二人と一緒に仕事できて良かったな…

3つのコーヒーカップと3つのシステムノートが並んだテーブル。

チーフは、ピンクのヒョウ柄のノートに、細いゴールドのボールペンを走らせている。

沙也香ちゃんのはベビーピンクのキルティングのノートに、大きいストーンが上についてるピンクのボールペン。

私のは…
オレンジ色の無地のシステムノートに、PILOTの紺色のフリクションボールペン。

女子力低いな~私。来年のシステムノートは絶対ピンクにしよう!

そんなことを考えながら定例会は進んでいった。
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