メトロの中は、近過ぎです!
誰が愛人?
翌日の朝。目覚まし時計が鳴るよりもかなり早めに起きてしまった。
体が重く、ため息ばかり出る。

電車に乗るのが怖い。
会社に行きたくないと思ってしまう。

今日は、完璧に準備して乗ろう。

顔を洗って、気持ちを切り替えた。

音楽プレーヤーの充電も満タンにして、朝御飯も食べたし、早めに家も出た。

3両目付近が一番空いてるのが分かっているから、その列に並びながら7時56分の急行を待つ。
イヤホンを耳に入れて、上着も脱いで、臨戦態勢完了。

なのに、後ろに並んでいる男の距離がやけに近い。

ほー、チカンですか?

どうやって捕まえてやろうかと考えながら、さりげなく後ろを向くと…

え?

そこには昨日大迷惑をかけてしまった、あの彫刻のような整った顔があった。
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