メトロの中は、近過ぎです!
集中してパソコンに向かっていると、南主任に呼ばれた。
「はい」
慌てて近寄ると、
「悪い、俺の分の急ぎの発注だ。発注書も起こしてない。メモ書きだけだ。やれるか?」
ざっと書かれたメモ書きと渡された資料を見る。

やれる!
「大丈夫です」
私の顔を見た主任はニヤリと笑った。
「頼んだ」

これは失敗できないな。

デスクに戻ろうと振り返ると大野さんと目が合った。
けど、すぐに逸らされてしまった。

向こう側では戸田君が沙也香ちゃんに発注作業を頼んでいる。

「え?こんなんじゃ発注できないよ」
「お願いしますよ、沙也香さん」
「この字読めないんだけど…」

こんな時でも沙也香ちゃんは戸田君に厳しい。

「佐々木、堀。ちょっといいか?」

主任が大きい声で呼ぶ。
集中しすぎてて、南主任の声を聞き逃すところだった。

「今の作業が終わったら、こっちの在庫をチェックしてくれ」

渡された資料は品番と工場の名前が入った表。
この短時間の間にこんなものまで用意されていたなんて、さすが主任。
その横には伊藤チーフがひたすらサンプル帳に付箋を貼っている。

そんな時、田中さんが戻ってきた。



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