冷たい君の甘い秘密





何も言わずに机をつけて教科書を真ん中に置く水瀬くん。




「ア、アリガトウ…」




どういう風の吹き回しだ。




不思議に思ってると





キーンコーンカーンコーン─…




授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。





「はい、挨拶ー」




と、だるそうに入ってきたバーコード先生。




お、おぉ…


いつに増して眩しいッス。頭……。





「教科書70ページ開いてー」





あたしがめくった方がいいのかこれは。




教科書のページをめくろうと教科書に手を伸ばした時、水瀬くんの手が触れた。




あっ。





「チッ」





水瀬くんは手を引っ込めて、頬ずえついてプイっとあっちに向く。



ちょっと手が触れただけなのにそんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃんか!!




そんなにあたしが嫌いかあんたは!!


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