侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
え゛? 「借金の件は私に迷惑のかからない形で解決なさって」とお願いした筈が、私ったらいつの間にかこの問題に、顎までどっぷり浸かっちゃってるって事ですか?
くぅぅ、懲りない父が恨めしいっ!!
「確かに父の考えそうな事ですわね。借金の事がありますし、申し訳ございませんが数回は送り迎えをお願い致します。勿論、会場内では御一緒して頂か無くて大丈夫ですので。わたくし元々社交の場が苦手ですの。舞踏会も一年振りと申しましたでしょう? 今後も色々理由を作って、極力欠席致しますからご安心を」にっこり
「あ…、ああ、それにしても君は変に物分かりが良いのだな」
レイモンド様は少し面食らっていらっしゃるようです。
「あ~ら、こう見えて平和主義者ですのよ。ま、乗りかかった舟、情けは人の為ならず、昨日の敵は今日の友、そんなところですわ、ふふふ。兎に角友好的に三ヶ月乗り切りましょ。でも三ヶ月後に借金返済できるあてはありますの?」
レイモンド様は嘆息し、
「色々考えているところだよ。領民に貸し付けている金を無理やり回収すれば何とでもなるだろうが、そんな事はしたくないから、まあ、いざとなったら別荘を一つ売るさ」
「でも、よろしいんですか?」
「ああ、受け継いだものは一つたりとも減らさず次の代に渡したかったが、領民を苦しめたくはないからな」
あらまあ……
今日のレイモンド様には、言葉の端々に思いやりが感じられ、過去数々の暴言を吐いた方と同一人物とは思えません。
レイモンド様仕様の着ぐるみの中に、悟りを開いたお爺ちゃんとか入ってませんよねぇ?
あらぬ妄想に口元が緩んでしまいました。
そんな私を怪訝な顔で見つめるレイモンド様。
「エセル嬢?」
「あ、あのいっそ持参金目当てで、資産家の貴族令嬢と結婚してしまうというのは如何です? ふふっ、やっぱり発想が父の娘ですわね。先日『侯爵様には魅力何て一グラムたりともありません』と申し上げましたが、お顔はとっても素敵ですもの、おモテになりますでしょう?」にっこり
あらら、何だか凄く嬉しそう……
「ははは、実は君の暴言に、これでも結構傷ついていたので嬉しいよ。まあ確かに私の容姿や能力、家柄と爵位は最高に魅力的だろうな」
いけしゃあしゃあとよくもまあ!
この人、お母様のお腹の中に、謙遜て言葉を忘れて来たな。
「君だって持参金目当てで寄って来る貴族は多いだろう? あっ、貶しているわけでは無いのだよ、悪く取らないでくれ」
まずい…という顔をして言い繕う姿が可愛く見え、思わず苦笑しました。
「ええ、皆さんバッチリお金目当てですから侯爵様のおっしゃる通りです。お気になさらず」
「いや違う、私はそんなつもりで言ったわけでは……」
ほほほと愛想笑いをして、
「さっきちらっと名前が出たザリガニとロブスターですけれど、同じ仲間同士ですのにザリガニは真水でしか、ロブスターの方は海でしか生きられませんでしょう? 父には申し訳ないですけれど、わたくしには貴族の世界で生きる事は色々な意味で無理なんです」
と言うと、ふうん、と少しつまらなそうな声を出し、まじまじと私の顔を見つめるレイモンド様。
車内にまた気まずい空気が漂った時、車は今夜の会場 ルース伯爵邸の門扉を通過したのでした。
くぅぅ、懲りない父が恨めしいっ!!
「確かに父の考えそうな事ですわね。借金の事がありますし、申し訳ございませんが数回は送り迎えをお願い致します。勿論、会場内では御一緒して頂か無くて大丈夫ですので。わたくし元々社交の場が苦手ですの。舞踏会も一年振りと申しましたでしょう? 今後も色々理由を作って、極力欠席致しますからご安心を」にっこり
「あ…、ああ、それにしても君は変に物分かりが良いのだな」
レイモンド様は少し面食らっていらっしゃるようです。
「あ~ら、こう見えて平和主義者ですのよ。ま、乗りかかった舟、情けは人の為ならず、昨日の敵は今日の友、そんなところですわ、ふふふ。兎に角友好的に三ヶ月乗り切りましょ。でも三ヶ月後に借金返済できるあてはありますの?」
レイモンド様は嘆息し、
「色々考えているところだよ。領民に貸し付けている金を無理やり回収すれば何とでもなるだろうが、そんな事はしたくないから、まあ、いざとなったら別荘を一つ売るさ」
「でも、よろしいんですか?」
「ああ、受け継いだものは一つたりとも減らさず次の代に渡したかったが、領民を苦しめたくはないからな」
あらまあ……
今日のレイモンド様には、言葉の端々に思いやりが感じられ、過去数々の暴言を吐いた方と同一人物とは思えません。
レイモンド様仕様の着ぐるみの中に、悟りを開いたお爺ちゃんとか入ってませんよねぇ?
あらぬ妄想に口元が緩んでしまいました。
そんな私を怪訝な顔で見つめるレイモンド様。
「エセル嬢?」
「あ、あのいっそ持参金目当てで、資産家の貴族令嬢と結婚してしまうというのは如何です? ふふっ、やっぱり発想が父の娘ですわね。先日『侯爵様には魅力何て一グラムたりともありません』と申し上げましたが、お顔はとっても素敵ですもの、おモテになりますでしょう?」にっこり
あらら、何だか凄く嬉しそう……
「ははは、実は君の暴言に、これでも結構傷ついていたので嬉しいよ。まあ確かに私の容姿や能力、家柄と爵位は最高に魅力的だろうな」
いけしゃあしゃあとよくもまあ!
この人、お母様のお腹の中に、謙遜て言葉を忘れて来たな。
「君だって持参金目当てで寄って来る貴族は多いだろう? あっ、貶しているわけでは無いのだよ、悪く取らないでくれ」
まずい…という顔をして言い繕う姿が可愛く見え、思わず苦笑しました。
「ええ、皆さんバッチリお金目当てですから侯爵様のおっしゃる通りです。お気になさらず」
「いや違う、私はそんなつもりで言ったわけでは……」
ほほほと愛想笑いをして、
「さっきちらっと名前が出たザリガニとロブスターですけれど、同じ仲間同士ですのにザリガニは真水でしか、ロブスターの方は海でしか生きられませんでしょう? 父には申し訳ないですけれど、わたくしには貴族の世界で生きる事は色々な意味で無理なんです」
と言うと、ふうん、と少しつまらなそうな声を出し、まじまじと私の顔を見つめるレイモンド様。
車内にまた気まずい空気が漂った時、車は今夜の会場 ルース伯爵邸の門扉を通過したのでした。