侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「アンディー、ごめんなさい。私は、貴方が来てくれて心の底から嬉しいわ。こうして仲直りも出来たしね」
と、遠慮がちににっこり。
「そうやって、ちょっと困った顔で可愛く笑うのも禁止だよ、ったくどれだけ僕の心を掻き乱せば気が済むの? ごめんなさいって思ってるなら、僕と踊ろう?」
アンディーは悪戯っぽく両眉を上げ、私の手を取り腰に手を回します。
「ごめんなさい、やっぱりダメよ。結婚初日から夫との約束を破るわけには、いかないもの」
申し訳なさそうに断れば、
「また『ごめんなさい』? それに『夫』も『ダメ』も聞きたくないんだけど。子供じみた我が儘侯爵との約束なんて、知るもんか!」
少し怒ったような声。でも直ぐにいつもの優しいアンディーに戻って、
「とは言うものの……、セルルを困らせたくないから、そこに座っておしゃべりでもしよう。それなら良いだろう?」
コクリと頷き数歩進んで足を止め、ちらりとボールルームを覗きましたが、レイモンド様は皆様に囲まれて、ニコニコご歓談中です。
その隣には相変わらずマリー様が、うっとりぴったり貼り付いています。
チクッ
花嫁は、私なのに……
おっと、夫と目が合いました。
彼はフイッと視線を逸らし、マリー様の耳元に唇を近付けて何事か囁きかけ、二人で楽しそうに笑い合っています。
あ、レイモンド様がまたチラリとこちらを見ましたが、
「どうしたのセルル? こっちへおいでよ……」
優しい声に誘われ、今度は私がそっと視線を逸らし、バルコニーの中央へ行きました。
胸の中が酷くモヤモヤしています。
と、遠慮がちににっこり。
「そうやって、ちょっと困った顔で可愛く笑うのも禁止だよ、ったくどれだけ僕の心を掻き乱せば気が済むの? ごめんなさいって思ってるなら、僕と踊ろう?」
アンディーは悪戯っぽく両眉を上げ、私の手を取り腰に手を回します。
「ごめんなさい、やっぱりダメよ。結婚初日から夫との約束を破るわけには、いかないもの」
申し訳なさそうに断れば、
「また『ごめんなさい』? それに『夫』も『ダメ』も聞きたくないんだけど。子供じみた我が儘侯爵との約束なんて、知るもんか!」
少し怒ったような声。でも直ぐにいつもの優しいアンディーに戻って、
「とは言うものの……、セルルを困らせたくないから、そこに座っておしゃべりでもしよう。それなら良いだろう?」
コクリと頷き数歩進んで足を止め、ちらりとボールルームを覗きましたが、レイモンド様は皆様に囲まれて、ニコニコご歓談中です。
その隣には相変わらずマリー様が、うっとりぴったり貼り付いています。
チクッ
花嫁は、私なのに……
おっと、夫と目が合いました。
彼はフイッと視線を逸らし、マリー様の耳元に唇を近付けて何事か囁きかけ、二人で楽しそうに笑い合っています。
あ、レイモンド様がまたチラリとこちらを見ましたが、
「どうしたのセルル? こっちへおいでよ……」
優しい声に誘われ、今度は私がそっと視線を逸らし、バルコニーの中央へ行きました。
胸の中が酷くモヤモヤしています。