侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
更なるハプニング
悲鳴!?
何が起こったのか分からず、レイモンド様と束の間見つめ合いました。

「君はここにい給え」

少し慌てた表情で言って、ドアの方へ小走りなさるレイモンド様。
ドアの辺りは同じように異変に気付き、廊下へ急ぐ方達でごった返しています。

「済まないが通して欲しい……」

声をかけながら進む夫の後ろについて(勿論彼にバレないように)どうにか廊下へ出ましたが、ほほほ、振り向いた夫と目が合い、あっさりバレました。

「エセルっ、残るように言っただろうっ!?」

「あ~らでも、『承知しました』なんてわたくし一言も申し上げておりませんもの」
と悪びれもせず言ってにっこり。

「君は、どうしてそう僕の言う事が……」

呆れ顔でおっしゃるレイモンド様の声を遮って、
「とにかく向こうへ参りましょう」
と皆様が向かう方を指さしました。

一階の一番奥の部屋の前には、黒山の人だかりが出来ています。

室内はまったく見えませんが人混みのあちらこちらから、「ルイーズ様が……」と聞こえます。 
珍しいお名前ではありませんが、私と一緒に社交界デビューした伯爵令嬢のルイーズ様では? 
と、確信めいた胸騒ぎを覚えました。 

父をモグラだ何だと散々けなし、私のことも見下して馬鹿にした方ですので正直嫌いですが、危険な目になど遭って欲しくはありません。

「あの、通して下さいませ」

「エセル危ないっ、君はここに……」

「済みません、通して下さい」

「ああああ、まったくっ!」

夫の言葉は完全無視で人だかりを掻き分け前進し、室内に入ってギョッ!!
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