侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「エセル嬢、私と踊れると言うのに考え事とは余裕だな」
ふと見上げると無駄に顔だけ良い、いや家柄とかも良いけれど、全ての元凶が皮肉な笑みを浮かべています。
「冗談だ、私もそこまで自惚れ屋では無いよ。ただ、上の空と言うのもパートナーに失礼ではないか?」
「申し訳ございません。でも侯爵様、得意じゃないって言いましたよ! 恥かいても知りませんからね!」
この四日間、久し振りの舞踏会に備えてダンスの先生に来て頂いて一応練習はしたものの、たいして上達せず、まあどうせシャペロンとおしゃべりして終わるからいいわぁ、なぁんて甘い事を考えていた自分に「ホールのド真ん中連れて行かれるから、足腰立たなくなるまで練習しなさい!」と教えてあげたい。
くぅぅ、まさかこんな展開になろうとは!
そして私の思いを嘲笑うかのように、優雅な生演奏は始まったのでした。
ええい、こうなったからには出たとこ勝負でいっ!
タタタッタタタタッタ くるりふわり……
あら、何だかリズムに乗りやすいし踊りやすいような?
レイモンド様、意外とリードが上手だわ。
強引に引っ張り回さないし、とても良い力加減でターンさせて下さるし。
のびのび踊れてちょっと楽し……ふふっ……あ、踏んじゃった。
気付けばいつの間にか二曲続けて踊り終え、私は結構な達成感でレイモンド様を見上げたのですが……。
「一体君は何回私の足を踏めば気が済むんだ!? ここまで下手だと、ある意味特殊な才能レベルだな」
珍しい生き物でもご覧になっているかのように、驚き呆れた口調でおっしゃいます。
「だから得意じゃありませんて、言ったじゃないですか~」
「にしても下手過ぎだ!」
「申し訳ございません」しゅん
「くくくっ、まあいい、少し休憩しよう」
私は若干うなだれ、レイモンド様は喉の奥で笑いながら、二人で壁の方へ歩いて行ったのですが、ファンクラブの令嬢達が放っておいて下さるはずも無く、
「ウィザーク侯爵様~!」「レイモンド様~!」
傲慢侯爵はあっという間に、花のようにあでやかな皆様に囚われて行ったのでした。
ほほほ、何だか薄桃色の靄に包まれています。
さようなり~
はぁ、やっと解放された
ふと見上げると無駄に顔だけ良い、いや家柄とかも良いけれど、全ての元凶が皮肉な笑みを浮かべています。
「冗談だ、私もそこまで自惚れ屋では無いよ。ただ、上の空と言うのもパートナーに失礼ではないか?」
「申し訳ございません。でも侯爵様、得意じゃないって言いましたよ! 恥かいても知りませんからね!」
この四日間、久し振りの舞踏会に備えてダンスの先生に来て頂いて一応練習はしたものの、たいして上達せず、まあどうせシャペロンとおしゃべりして終わるからいいわぁ、なぁんて甘い事を考えていた自分に「ホールのド真ん中連れて行かれるから、足腰立たなくなるまで練習しなさい!」と教えてあげたい。
くぅぅ、まさかこんな展開になろうとは!
そして私の思いを嘲笑うかのように、優雅な生演奏は始まったのでした。
ええい、こうなったからには出たとこ勝負でいっ!
タタタッタタタタッタ くるりふわり……
あら、何だかリズムに乗りやすいし踊りやすいような?
レイモンド様、意外とリードが上手だわ。
強引に引っ張り回さないし、とても良い力加減でターンさせて下さるし。
のびのび踊れてちょっと楽し……ふふっ……あ、踏んじゃった。
気付けばいつの間にか二曲続けて踊り終え、私は結構な達成感でレイモンド様を見上げたのですが……。
「一体君は何回私の足を踏めば気が済むんだ!? ここまで下手だと、ある意味特殊な才能レベルだな」
珍しい生き物でもご覧になっているかのように、驚き呆れた口調でおっしゃいます。
「だから得意じゃありませんて、言ったじゃないですか~」
「にしても下手過ぎだ!」
「申し訳ございません」しゅん
「くくくっ、まあいい、少し休憩しよう」
私は若干うなだれ、レイモンド様は喉の奥で笑いながら、二人で壁の方へ歩いて行ったのですが、ファンクラブの令嬢達が放っておいて下さるはずも無く、
「ウィザーク侯爵様~!」「レイモンド様~!」
傲慢侯爵はあっという間に、花のようにあでやかな皆様に囚われて行ったのでした。
ほほほ、何だか薄桃色の靄に包まれています。
さようなり~
はぁ、やっと解放された