侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?

柔らかな陽光が降り注ぐ白を基調とした家族用のダイニング、十数人がゆったり座って食事が出来るテーブルの端っこに、三つ並んだトウモロコシのようにきゅんとつめて座り、親子で朝食の真っ最中。

アンバランスなこの配置は、レイの趣味。落ち着くんだとか。

ちなみにランチもディナーも、三人揃う時はいつもこんな感じです。

「おとしゃま、大しゅき~」

「お父様も大大大好きだよ~、サブリナ~」

庭での一件から早二か月、一日何度も繰り返される娘からの愛の告白は、いつしか『しゅき』から『大しゅき』へと変化し、レイは今日も朝からデレッデレ。

微笑ましく思いつつ、そんな彼の事を私は密かに『デレモンド』と呼んでいます。

余談ですがサブリナの発語は、その後ほとんど増えていません。
でも気が向けば、或いは必要に迫られれば、絶対話せるんですこの子。

あっ、サブリナが自分のお皿からミニトマトを摘まみ上げ、レイの口元に持っていきます。
最近流行りのこの手口。
食いしん坊なサブリナですが好き嫌いも多く、トマト、アボカド、カボチャ、ピーマン、ホウレンソウは苦手なのです。

「おとしゃま大しゅき」

舌足らずに磨きをかけ、無邪気を装ってダメ押しのように言う。あざとっ!
ホントにまったく女優かよーっ!

メロメロのデレモンドはトマトをパクッ。

「サブリナのくれるトマトは世界一美味しいな~」
って、毎回毎回引っ掛かりおってー!

< 144 / 153 >

この作品をシェア

pagetop