侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
三年半前、別荘送りを跳ねのけ、勘当同然でアヴェンシー伯爵家を出たルイーズは、その足でメイヤー商会の門を叩き、どんな仕事でも良いから働かせて欲しい、と父に直談判したそうです。

父は彼女を従業員として受け入れ、もちろん特別扱いはせず、雑用や使いっ走りから始めさせたようです。

後日、ルイーズからの手紙で諸々知った私は勿論驚きましたが、『大変だけれど毎日充実していて楽しいの、本当に幸せよ!』と書いてありましたので、いっさい口出しはしませんでした。

ただ父の右腕とも呼ばれる専務さんに、折に触れてどんな様子か、こっそり聞いてはいましたが。

頭が良く負けん気が強いルイーズは、なりふり構わず男らしく働き(って言ったの専務)、雨の後のキノコのようにニョッキにょき頭角を現し、その後、事務や経理、営業、企画等何でもこなすようになったようです。

そして、彼女の発案で製造・販売した自虐ネタ満載のピストル型チャーム『ルイーズ銃』が爆発的に大ヒットし、今では王妃様や王女様方も扇の房飾りや、バッグのファスナーに付けていらっしゃるほどです。

専務さんから聞いた話によると、ルイーズにはアクセサリーデザインの才能もあるようで、ルイーズ銃の他にもルイーズブランドのアクセサリーが、飛ぶように売れているんだとか。


さて、私はこの結婚話を聞いた時、『ええい、言う事を聞きやがれぇい』みたいな感じで、父が無理やり言うことをきかせたのでは? と、うすら寒くなりましたが、実際にはルイーズからの逆プロポーズだったようです。

アンディー主催の舞踏会で、『モグラとの結婚なんて私は絶対無理』って言ってた方が……、ホ~ント、人生何が起きるか分かりません!
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