侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
わりと有名だと言うアンディーの出自や、家督を継いだ経緯ですが、庭園で彼から聞いた話によると、アンディは先々代伯爵と、ハウスメイドだったお母様との間に生まれた子供だそうです。
お母様に続いて母方のお爺様も亡くなった為、十一歳の時に伯爵家に引き取られたのだそうです。
アンディーが去って行った時の事は良く覚えています。
『明日引っ越すんだ……』
そんな寝耳に水の話を聞いた翌日、行き先も言わぬまま行こうとする彼を引き留めながら、私は声を上げて泣きました。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ガラス瓶いっぱいに詰めた手作りクッキーを渡した事も、忘れられません。
その後彼はずっと寄宿学校に入れられ、卒業後は海外にいたそうです。
伯爵家の人達がアンディーに冷たかったのでは? と心配で聞きましたが、伯爵夫人も十歳以上歳上のお兄様二人も使用人達も、彼に優しかったそうでホッとしました。
伯爵夫人(存命中)がお産みになった先代伯爵(上のお兄様)と下のお兄様が、昨年冬に流行り病で相次いで身罷られ、お兄様達に男の子のお子さんがいない為、アンディが爵位を継いだのだそうです。
「侯爵様、アンディーの評判に係わりますので、庭園でお聞きになった話はどうかご内密にお願いします」
「ふぅん、しゃべったら彼の為に、今度は私のポケットに蛇を入れるのか? しかし蛇って……君は本当に規格外だな」
意地悪な笑みを浮かべるレイモンド様。
さすがに蛇は入れませんが(た、たぶんね)、軽蔑はすると思います。
白いお友達をゴクリ
「私の知るアンディは、自分を虐めた子にも優しくするような、思いやりのある子でしたの。お花を育てるのも、誰よりも上手でしたわ。そんな彼が色眼鏡で見られて、馬鹿だ何だと軽んじられるのは堪りませんもの。どうかお心に仕舞っておいて下さいませ」
お母様に続いて母方のお爺様も亡くなった為、十一歳の時に伯爵家に引き取られたのだそうです。
アンディーが去って行った時の事は良く覚えています。
『明日引っ越すんだ……』
そんな寝耳に水の話を聞いた翌日、行き先も言わぬまま行こうとする彼を引き留めながら、私は声を上げて泣きました。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ガラス瓶いっぱいに詰めた手作りクッキーを渡した事も、忘れられません。
その後彼はずっと寄宿学校に入れられ、卒業後は海外にいたそうです。
伯爵家の人達がアンディーに冷たかったのでは? と心配で聞きましたが、伯爵夫人も十歳以上歳上のお兄様二人も使用人達も、彼に優しかったそうでホッとしました。
伯爵夫人(存命中)がお産みになった先代伯爵(上のお兄様)と下のお兄様が、昨年冬に流行り病で相次いで身罷られ、お兄様達に男の子のお子さんがいない為、アンディが爵位を継いだのだそうです。
「侯爵様、アンディーの評判に係わりますので、庭園でお聞きになった話はどうかご内密にお願いします」
「ふぅん、しゃべったら彼の為に、今度は私のポケットに蛇を入れるのか? しかし蛇って……君は本当に規格外だな」
意地悪な笑みを浮かべるレイモンド様。
さすがに蛇は入れませんが(た、たぶんね)、軽蔑はすると思います。
白いお友達をゴクリ
「私の知るアンディは、自分を虐めた子にも優しくするような、思いやりのある子でしたの。お花を育てるのも、誰よりも上手でしたわ。そんな彼が色眼鏡で見られて、馬鹿だ何だと軽んじられるのは堪りませんもの。どうかお心に仕舞っておいて下さいませ」