侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「子供の頃どうだったかは知らんが、成長してからの彼は、数学、科学、天文学、語学、文学、あらゆる分野に通じた天才だ。きっと成長期に爆発的に学力が伸びたんだろうな」

まあっ!

「国費で数か国に留学していたし、国王陛下の覚えもめでたい。元バカだとばらしても、偉人伝を魅力的にするだけだ。この国で二番人気の独身貴族は間違いなく彼だろうな、ははは」

心底驚き、アンディー頑張ったのね……と、心がじんわり温かくなりました。

あれ? ところでレイモンド様は庭園で、どこまで見ていたのでしょう? もしかして瞼にキスされるところも見られた!? もしそうなら恥ずかしい……。

「つかぬことをお伺いしますが、侯爵様はその……ずっとわたくし達を……ご覧に……」
だんだん歯切れが悪くなるのを、レイモンド様はシニカルに引き継いで、
「なんだ見ていて欲しかったのか?」
そう言って、グラスのワインを一息に呷ります。

何だか少しゾクッとしつつ、頭を左右にぶんぶん振れば、ふんっと鼻を鳴らし、
「見ているわけがないだろう。私は暇ではないんだよ」
と、ちょっと冷たくキッパリ。

ですよねぇ、ホッ

おっとこうしちゃいられません、とっとと食べて帰りましょう!

私はどうにか鉛味のサラダとスープを流し込みましたが、レイモンド様は殆どお料理に手を付けず、私と同じタイミングでお皿を下げてもらっています。

「侯爵様、お召し上がりにならないのですか?」

「ああ、良いのだ」

良くない! 
食べないんなら食事になんか誘うんじゃないわよっ!!
 
ゴクゴクゴクゴク 芳醇な白いお友達で喉と心を潤す私。

ほほほ、そろそろ赤も欲しいわね……
心の中で呟いた時、私達の目の前に真っ赤なロブスターが運ばれてきたのでした。

わお、アミーゴ! 
私が思ったのは、赤ワインだってーっ!

< 24 / 153 >

この作品をシェア

pagetop