侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「エセル、この国きっての大貴族で、しかも独身の青年貴族の中で最も人気のあるこの僕が求婚してやってるんだぞ、つまらない意地を張らずに有り難く頷くべきだろう!」
うわぁ~出た出た傲慢発言!
あなたのそういう所が苦手なのよ!!
それに最も人気があるなんてよくまあしれっと言うよねー、どこ統計か言ってみろー!!
なんてことは話がややこしくなるので黙っときましょう。
「それに君は知らないかもしれないが、貴族の結婚には愛など全く必要無いのだよ。尊敬が必要だと言うのなら、結婚すれば君も領民や使用人のように僕を敬愛するようになるさ」
なりません!
でもまぁ昨夜は色々お世話になったわけですし、諸々オブラートに包んでお話ししましょう。
「侯爵様には必要無くても、わたくしの結婚には愛情は必要不可欠です。それに侯爵様は、夫と妻は主従関係のようなものだと考えていらっしゃるようですが、わたくしは、夫婦は対等だと思っております。お互い価値観がまるで違いますし、結婚しても幸せにはなれませんわ。ですからお申し出をお受けするわけにはまいりません」
この時レイモンド様は、唇を引き結んだまま一言も口を挟まず、じぃっと私の顔をご覧になりながら話に耳を傾けていらっしゃいましたが、美麗なお顔に真剣な眼差しで見つめられると、恐い上に決まりが悪く、正直困ってしまいました。
「昨夜の事ならわたくしの身から出た錆、責任を感じて頂かなくて大丈夫です。それに幸か不幸かわたくしは全く覚えておりませんし、心の傷もそのうち癒えると思います。……とは言えこれから三ヶ月間、何食わぬ顔で侯爵様にエスコートして頂く自信はございませんので」
あら、何だかレイモンド様の顔色が変わったような?
「父には『侯爵様のお車を汚物まみれにして合わせる顔が無いので、エスコートの件は白紙にしました』と伝えます。それからお金の返済猶予期間は、迷惑をお掛けしたお詫びに、父に頼んで延ばして貰いますね。それにお車は弁償させて頂きます」
私を見つめるサファイアブルーは、いっそう冷たい翳りを帯びています。
やはりプライドが傷ついたのでしょうが、『爵位もないドブネズミの娘』と結婚しなくて良いのですから、後になればほっとされるに違いありません。
レイモンド様は押し黙ったままです。
うわぁ~出た出た傲慢発言!
あなたのそういう所が苦手なのよ!!
それに最も人気があるなんてよくまあしれっと言うよねー、どこ統計か言ってみろー!!
なんてことは話がややこしくなるので黙っときましょう。
「それに君は知らないかもしれないが、貴族の結婚には愛など全く必要無いのだよ。尊敬が必要だと言うのなら、結婚すれば君も領民や使用人のように僕を敬愛するようになるさ」
なりません!
でもまぁ昨夜は色々お世話になったわけですし、諸々オブラートに包んでお話ししましょう。
「侯爵様には必要無くても、わたくしの結婚には愛情は必要不可欠です。それに侯爵様は、夫と妻は主従関係のようなものだと考えていらっしゃるようですが、わたくしは、夫婦は対等だと思っております。お互い価値観がまるで違いますし、結婚しても幸せにはなれませんわ。ですからお申し出をお受けするわけにはまいりません」
この時レイモンド様は、唇を引き結んだまま一言も口を挟まず、じぃっと私の顔をご覧になりながら話に耳を傾けていらっしゃいましたが、美麗なお顔に真剣な眼差しで見つめられると、恐い上に決まりが悪く、正直困ってしまいました。
「昨夜の事ならわたくしの身から出た錆、責任を感じて頂かなくて大丈夫です。それに幸か不幸かわたくしは全く覚えておりませんし、心の傷もそのうち癒えると思います。……とは言えこれから三ヶ月間、何食わぬ顔で侯爵様にエスコートして頂く自信はございませんので」
あら、何だかレイモンド様の顔色が変わったような?
「父には『侯爵様のお車を汚物まみれにして合わせる顔が無いので、エスコートの件は白紙にしました』と伝えます。それからお金の返済猶予期間は、迷惑をお掛けしたお詫びに、父に頼んで延ばして貰いますね。それにお車は弁償させて頂きます」
私を見つめるサファイアブルーは、いっそう冷たい翳りを帯びています。
やはりプライドが傷ついたのでしょうが、『爵位もないドブネズミの娘』と結婚しなくて良いのですから、後になればほっとされるに違いありません。
レイモンド様は押し黙ったままです。