侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
副執事の呟き
ウィザーク侯爵家副執事兼たまに旦那様(レイモンド)の従者のリードマンです。

旦那様とは乳兄弟で、その後旦那様の従者となり、弱冠二十五歳で副執事に出世した腹黒、いえいえキレ者です。

旦那様は、子供の頃よく捨て猫やら捨て犬を拾って来ていましたが、昨夜はゲ〇まみれの猛獣を連れて来られて、「彼女はエセル嬢、大切な客人だ。粗相の無いように」と。

粗相してるのは、その小汚~いお嬢さんですけどぉ~

と執事、家政婦長、下僕、メイド達の心の声が、絶妙なハーモニーで玄関ホールに響いてましたよ。

えっ? こ、これがエセル!? マジかよーーーっ!?

ああこれは、昨夜の私の心の叫びです。

エセル様を邸に連れて来た事が、嬉しくて嬉しくて仕方が無い御様子だった旦那様、確実に鼻の下三メートルくらい伸びてました。

旦那様にとってあの小汚い猛獣が特別だという事は、名前を聞いて直ぐに分かりましたよ。

だって『エセル』って、旦那様が品種改良して色んな意味で愛情注ぎまくって、少し前に咲かせるのに成功した、新種の薔薇に付けた名前じゃありませんか。

蕾をつける前は苗木に話しかける程度だったのが、蕾をつけてからはキスしたり、まあそこまでは許せますけど、花が咲いたらイッちゃった目をして、嬉しそうに舐めてましたよね? キモこわっ! 
しかもペロペロしてるの見たの、一度や二度じゃないですからねぇ!! 

ドン引きしていた半面、もしや好きなレディが現れた? 
と微笑ましくも思っていましたが、汚物まみれで奇声を発するトラだかライオンだか訳分かんない粗暴なお嬢さんが、白薔薇の君ぃ? ゲロゲローっ!

恋は盲目にも程があるだろうがーーーっ!!

いやぁホント昨夜は驚きました。
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