侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「私はこの世の生き物の中で、子供ほど嫌いなものは無い。我が儘で自己主張が強くて。彼女は子供がそのまま大きくなったような実に素直な女性だから、ハッキリ言って好みでは無い」
そう言って、片方の口の端を上げ皮肉な笑みを浮かべた。
エセル、君は僕を嫌いなんだろう?
それなのに僕の方は君を愛してるなんて、言えるわけ無いじゃないか。
「彼女を侮辱するな!」
ルースが声を荒らげるのを冷ややかな眼差しで見つめながら、ナイト気取りか、とさらりと言って鼻先で笑う。
「君の問いに正直に答えただけだよ。悪いが、君の耳に心地良いように答える気など更々無い。ついでに言うと、私にとってエセル嬢は魅力的とは言え無いが、彼女と結婚しても良いとは思っている」
ルースは目を見開いた。
「馬鹿を言うなっ!!」
「いいや正当な理由がある。それは……」
話を続けようとした僕を遮るように、エセルが小さく叫ぶ。
「侯爵様!」
そう言って、彼女は懇願するような眼差しをしながら、頭を左右に振った。
そんな風に辛そうな顔しなくても、僕は喋ったりしないのに……。
「ひと月程前メイヤー殿から、『娘と結婚するなら借金はチャラにしてやる』と言われ、その時は即答で断ったが、よく考えれば大金を返さずに済むのだから、結婚ぐらいしてやっても良いと思い直したわけだ……」
この手だけは使いたくなかったが、こいつがエセルに猛アタックしてるのだから悠長な事は言っていられない。
明日にでもメイヤー邸に出向いて、不本意ではあるが、あの腹黒親父に『エセルと結婚するから、借金をチャラにしろ!』と言うほかあるまい。
エセルには思いっきり軽蔑されるだろうなぁ……。
いっそ『エセルを好きだから』と正直に言ってしまおうか……。
言えないなぁ。
まあ結婚出来なかったら尊敬されても意味は無いし、結婚後に沢山愛して優しくして甘やかして埋め合わせをすれば良いだろう。
曇った表情のエセルの事が気になり、ルースの非難の声は耳を通り過ぎて行った。
そしてその直後、
「ウィザーク様、ルース様、レースが始まります。お急ぎ下さい!!」
馬丁が大きな声を出しながら、僕らを呼びに走って来た。
そう言って、片方の口の端を上げ皮肉な笑みを浮かべた。
エセル、君は僕を嫌いなんだろう?
それなのに僕の方は君を愛してるなんて、言えるわけ無いじゃないか。
「彼女を侮辱するな!」
ルースが声を荒らげるのを冷ややかな眼差しで見つめながら、ナイト気取りか、とさらりと言って鼻先で笑う。
「君の問いに正直に答えただけだよ。悪いが、君の耳に心地良いように答える気など更々無い。ついでに言うと、私にとってエセル嬢は魅力的とは言え無いが、彼女と結婚しても良いとは思っている」
ルースは目を見開いた。
「馬鹿を言うなっ!!」
「いいや正当な理由がある。それは……」
話を続けようとした僕を遮るように、エセルが小さく叫ぶ。
「侯爵様!」
そう言って、彼女は懇願するような眼差しをしながら、頭を左右に振った。
そんな風に辛そうな顔しなくても、僕は喋ったりしないのに……。
「ひと月程前メイヤー殿から、『娘と結婚するなら借金はチャラにしてやる』と言われ、その時は即答で断ったが、よく考えれば大金を返さずに済むのだから、結婚ぐらいしてやっても良いと思い直したわけだ……」
この手だけは使いたくなかったが、こいつがエセルに猛アタックしてるのだから悠長な事は言っていられない。
明日にでもメイヤー邸に出向いて、不本意ではあるが、あの腹黒親父に『エセルと結婚するから、借金をチャラにしろ!』と言うほかあるまい。
エセルには思いっきり軽蔑されるだろうなぁ……。
いっそ『エセルを好きだから』と正直に言ってしまおうか……。
言えないなぁ。
まあ結婚出来なかったら尊敬されても意味は無いし、結婚後に沢山愛して優しくして甘やかして埋め合わせをすれば良いだろう。
曇った表情のエセルの事が気になり、ルースの非難の声は耳を通り過ぎて行った。
そしてその直後、
「ウィザーク様、ルース様、レースが始まります。お急ぎ下さい!!」
馬丁が大きな声を出しながら、僕らを呼びに走って来た。