侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「俺としちゃぁ、偉そうでクッソ生意気な気取り屋のレイモンドより、気さくなアンディー様の方が比べ物にならないくらい好きだし、お前だって傲慢な青二才の事は、あぁんなに嫌ってたし、逆にアンディー様とは恋人同士みたいに仲良さそうだったから、やっぱりアンディー様の子なんだろう?」

お腹にいるのは、残念ながらクッソ生意気なほうの子供です……。
と心の中で呟くも、言葉に出せないで目を泳がせていると、

「黙っているところを見ると、ははぁん、さてはそうか……」

レイモンド様の子ってバレちゃった?

「さては他にもいるんだなっ、エセル、いったい誰と寝たんだ!?」

そっち方面に勘違いですか? 
にしてもあまりに露骨な言い回しに、開いた口が塞がりません。
ルーカス、娘に言う言葉と違うだろっ!  

とその時 トントン
 
ノックの音と共にドアが開き、「失礼する」と入って来た乗馬服姿のレイモンド様。

ひぃぃー、なんでこんな最悪のタイミングに来るのよー! 
お願いだから失礼しないで回れ右!    

「話は廊下で聞かせてもらった。随分大きな声だったからな。エセル嬢のお腹の子の父親は、残念ながら偉そうでくっそ生意気で気取り屋のこの私だルーカス殿。いや今後は父上とお呼びするべきだな」
涼しい顔で言ってにっこり。

ゴーン!! 
後頭部をこん棒で殴られたような衝撃が走ります。

レイモンド様、言っちゃった? 言っちゃったよね!?

ゲームセット! ま、負けた、完全に終わった……。

私は頭が真っ白になり、石になって固まったのでした。
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