侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
副執事のお小言
お早うございます。
ウィザーク侯爵家 副執事リードマンです。

只今旦那様のお着替えのお手伝いをしております。

この人、あのレースの日から気持ち悪いくらい元気になって、今朝はニヤニヤが止まらない御様子です。

「旦那様、目尻が顎まで下がっています。いくらエセル様との結婚が嬉しいからとは言え、それではウィザーク侯爵としての威厳が保てません」 

「な、なんだよ」
とちょっと狼狽える旦那様。

「社交界で断トツ一位の人気を誇るプレーボーイは何処行っちゃったんですか? ああ、洗面台の排水溝あたりに引っかかってるのかな?」

「リードマン、口が過ぎるぞ! それに、私は別に浮ついてなどいない」

どの口が言ってんだか……
「おやそうですかぁ? 最近地面から二・三センチは浮いていらっしゃいますけど。それに、耳に痛い言葉ほどお聞きになるべきかと存じます。あああ、ほらまた、口元が緩んで……」

最後にブートニア、よし完了!
 
ニヤついてても流石は男前、ブルーグレーの正装が良くお似合いです。

「旦那様いいですか、誓いのキスはそっと短くですよ」

「そんな事言われなくても分かってる!」

決まり悪そうにおっしゃいますけど、ホントですかぁ? 

「ああ、それと……」

「もう良い、行ってくる」

あぁあ、行っちゃった。
式に出席される方に追加があったんだけど、まあ、良いか。 

何はともあれ良かったですね、この良き日を迎えられて。
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