侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?

エセルside

しぃんと静まり返った荘厳なる大聖堂の中では、大司教様が良く響く渋いお声で、有り難いお言葉を述べていらっしゃいます。

超至近距離、とても贅沢なシチュエーションですが、私は壁や天井に嵌め込まれた無数のステンドグラスから差し込む、色とりどりの陽の光に照らし出された、聖なる埃(ほこり)に気を取られています。

ほほ、聖なるは大袈裟ですね。

でもまるで粉雪のように舞い散るさまは、場所が場所なだけに幻想的と言うか、何だかとっても綺麗で福音すら感じます。

ええ、有り難いお言葉の最中に、罰当たりなのは重々承知していますが、現実逃避したいんですものー!!

今ですか?

パールやレースを贅沢にあしらった、トレーン(引き裾)の長~い純白ドレスに身を包み、見た目だけなら神レベルのレイモンド様と並んで、カショクノテンの真っ最中です。

食べ過ぎたイタチみたいな動物? それは過食のテン。

私の方は華燭の典、つまり結婚式の真っ最中です。

ほほほ、おやじ? 爺さん? 
ホント寒すぎましたね。誰かー、暖房と風邪薬~!

とにかく冗談でも言ってないとやってられませんのー。
トホホホホ

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