侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「あぁあ、つまりこの金髪の狼が母の命日だと偽り、アルコールに弱~い子羊を無理やり酒に付き合わせ、べろんべろんに酔わせた挙句、変態プレーで子種をばら撒きやがったって事ですね!? アンビリーバボー! 侯爵ともあろう方が、何と嘆かわしい」

リードマンは芝居がかった言い方でそう言って、頭を左右に振りました。
くぅぅ、一番バレてはいけない相手に、バレてしまった気がします。
エセル、痛恨のミス! 恥ずかし過ぎて死にそうです。

「お前っ、変な事言うなっ、クビにするぞ!!」
と小さく叫んだ主人の事など完全スルーで、毒舌副執事はなおも語ります。

「旦那様、前科一犯確定です!! いやぁ、やっちゃいましたねえ。あ、今の色ぉんな意味含んでますからね」

「くそっ、リードマン、突き落とすぞっ! そもそも彼女は酒に弱く無いし、僕は変態でも性犯罪者でもないっ! 同意の上の愛ある行為だ!!」

無意識に手近にあったクッション数個を投げつけます。 ポスッ、バスッ、ボスッ

「おーっほっほ、ただ単にあなたのバカ蛇が鎌首もたげて我慢できずに暴れまくっただけでしょう? 愛ある行為? 愛欲の間違いでしょう? ほほほほほ、笑い過ぎて腹筋鍛えられてスリムになれたわ、有り難う」

これ言ってるの私じゃありませんし、レイモンド様は目を見開いて、餌場の鯉のように口をパクパクさせています。
リードマンは笑いをかみ殺しているようです。

3人の視線は入り口付近に立つ、大輪のダリアのように華やかでゴージャスな熟年の美女に集中しています。

「あぁらまあ、こんなに物が散らかっちゃって、この部屋泥棒でも入ったの? エセルさん、初めまして。あなたを手籠めにしたレイモンドの母親のバーバラよ。生きててビックリでしょう? わたくしも殺されててビックリだったけど。レイモンド、強姦罪と母親殺しで終身刑確定だわね、おめでとう、ほほほほっ!!」

見た目も声も迫力満点、しかも恥ずかしい事を明け透けにおっしゃるレイモンド様のお母様に圧倒され、私は言葉に詰まりました。

おーーーっほっほっ、ほほほほほっ!!!

高らかで艶やかな笑い声が室内に響いています。

< 88 / 153 >

この作品をシェア

pagetop