侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「それにしてもエセルちゃ~ん、自分を乱暴した相手の子供を産まなきゃならないなんて、ホ~ント涙無くしては聞けない話だわねぇ……。おーっほっほ、おーっほっほっ」

って、どう見ても楽しそうに声高らかに笑っちゃってます。

「ああああもうっ、確かに避妊はしませんでしたが、乱暴もしてませんっ!!」

小さく叫ぶレイモンド様をグーで殴りたい私。
このっ、よくも恥ずかしい事を!! 

「あ、あのお母様、『我が子は可愛い』と言いますし、わたくしも日々この子が愛おしく思えてなりません。ですからご心配頂かなくて大丈夫でございます」

「あらエセルちゃん、今の言葉に2か所訂正があります」
レイモンド様のお母様は、しゃなしゃなと鳴る金の房飾りのついた扇をぱちんと閉じ、その先を私に向けておっしゃいます。

「まず、わたくしの事は『バーバラ』と呼んでちょうだい。お母様なんて呼ばれたら、一気に老け込みそうでイヤだわ~ん。次に『生まれた我が子は、可愛くないかも知れない』が正解です! OK?」

悪戯っぽく語尾をお上げになり、また艶やかな声で高笑い。
ビックリ発言に目を丸くする私と、呆れ顔のレイモンド様。

「じゃ、また披露宴でね~。新郎新婦の殴り合いの大げんか場外乱闘付き、期待してるわよ~ん」

バーバラ様はドレスの裾を翻し、何事も無かったかのように風ように去って行かれました。

「まさにフリーダム」
リードマンがポツリ。

父も相当強烈なキャラですが、バーバラ様もダイナマイト級のインパクト、思わず『女ルーカス』に認定させて頂きました。
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