侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
披露宴スタート

レイモンドsaido

煌びやかに飾り付けられたボールルームは、華やかに着飾った招待客で溢れている。

ダンスが始まる前に暫し歓談タイムを設けたが、エセルが口をきいてくれない。
ゲスト達にはにこやかに接するのに、僕には氷のように冷ややかだ。

僕が悪かったから仕方ないけれど……。

まあ、いくら機嫌が悪くても隣にいてくれるから、良しとする。

それにしても、なんて甘くて良い匂いがするんだろう。 
胸元もマシュマロみたいにふんわりしっとりしているし、耳だって貝殻みたいに可愛らしくて、食べちゃいたいくらいだ。

全部僕のものだ。

今夜は初夜だけど……、妊娠してるから、やっぱり駄目なんだろうなぁ。

ちょっとくらいなら……

駄目だろうなぁ……。
キスで我慢するしかないか。

でも一緒のベッドで眠れるし、エセルが寝た後で、少しくらい舐めたり触れたりしても良いよな……ふふふ。


うわっ、このタイミングで一番来てほしく無いヤツが来た!

しかも手に持ってるあれを、まさかエセルに渡す気か?

組んでいた手をほどき、エセルの腰に手を回す。
彼女は少し驚いたように僕を見上げたが、拒みはしなかった。

「ウィザーク侯爵、奥様、おめでとうございます」

「ルース伯爵、ありがとう」

「まあっ、アンディー来てくれたのねっ! 奥様なんて恥ずかしいわ。いつも通りセルルと呼んで」

エセルは、花が咲いたような笑顔を見せた。

< 99 / 153 >

この作品をシェア

pagetop