御曹司のとろ甘な独占愛
　重厚感のある調度品、輝くシャンデリア、洗練された幻想的なまでの美しい場所。そんな空間の中で、彼女は決闘でも申し込みにきたのかと思うような表情をしている。

　彼女は自信に満ち溢れてた昂然とした様子で、「おかけなさい」と命令するように一花へ言った。
　一花は、ここは従っておこう……とソファへ腰掛け、そっと彼女を伺う。

　流れるような栗色の髪に、甘さを感じるつり目、林檎のように赤い唇。目の覚めるようなワインレッドの上品なワンピースを纏った彼女は、清楚でお淑やかそうに見える。

　まるで可愛いものだけを詰め込んでつくられた、人形のような雰囲気の美女だった。

　センターテーブルを挟んで、一花の目の前のソファに腰掛けた女性は、艶やかなふわふわのウェーブヘアを可愛らしく耳にかける。
　すると目元に力を入れて、清楚でお淑やかそうな外見とは裏腹にキッとこちらを睨み上げた。

「アナタが最近、伯睿の周りをうろついている女性かしら」

「……へ？　えっと……」

　うろついている、とは一体どういう了見だろう。
　一花は「私は伯睿の恋人です」と言いたいのを我慢して、曖昧に笑って言葉を濁す。
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