御曹司のとろ甘な独占愛
伯睿の自宅では見かけなかった朝顔の花簪。
(実際は少し寂しかったけれど……あんな昔の品、捨てられていても仕方ないと思ってた。人それぞれライフスタイルがあるし、伯睿は特に翡翠や宝石のために世界を飛び回っている人だから……)
しかし、ご実家にあって、それを捨ててしまいたいとお母様に言われているとなれば別だ。他人様に迷惑をかけるために贈った物ではないし、疎まれるくらいなら処分してもらった方が、あの花簪のためにもなる。
「思い出の花簪が埃まみれでショック? まあ、残念ながらそれが伯睿の本心ということね……。
ご実家では、あなたのことを皆様“朝顔ちゃん”って呼んでいるそうよ。その言葉の由来を、伯睿のお母様から聞いたのだけど……アナタは“朝顔の花一時”という日本の諺をご存知?」
目の前で威風堂々と足を組み替えた怡菲は、一花とは反対に楽しそうに知識を披露する。
「朝顔の美しさは一瞬だけ――つまり、朝顔ちゃんは“一時だけを楽しむ遊び相手”という意味なんですって。だから例え埃まみれでも、思い出の品は必要な時のために取ってあるし、……婚約者がいることも知らされないの」
だって、遊びの相手って所詮部外者だもの、と彼女はクスクス笑いとともに言い切った。
(実際は少し寂しかったけれど……あんな昔の品、捨てられていても仕方ないと思ってた。人それぞれライフスタイルがあるし、伯睿は特に翡翠や宝石のために世界を飛び回っている人だから……)
しかし、ご実家にあって、それを捨ててしまいたいとお母様に言われているとなれば別だ。他人様に迷惑をかけるために贈った物ではないし、疎まれるくらいなら処分してもらった方が、あの花簪のためにもなる。
「思い出の花簪が埃まみれでショック? まあ、残念ながらそれが伯睿の本心ということね……。
ご実家では、あなたのことを皆様“朝顔ちゃん”って呼んでいるそうよ。その言葉の由来を、伯睿のお母様から聞いたのだけど……アナタは“朝顔の花一時”という日本の諺をご存知?」
目の前で威風堂々と足を組み替えた怡菲は、一花とは反対に楽しそうに知識を披露する。
「朝顔の美しさは一瞬だけ――つまり、朝顔ちゃんは“一時だけを楽しむ遊び相手”という意味なんですって。だから例え埃まみれでも、思い出の品は必要な時のために取ってあるし、……婚約者がいることも知らされないの」
だって、遊びの相手って所詮部外者だもの、と彼女はクスクス笑いとともに言い切った。