御曹司のとろ甘な独占愛
その作戦が父が計画していたよりも首尾よく進まなかったので、伯睿が帰国した時に、ここから追い出そうとしたのだろう。
台湾は香港出身の怡菲の行動範囲内だ。彼女を止めることが出来ないのならば、伯睿を遠ざけるほかない。
それもこれも全て、息子が一生懸命育ててきた『華翡翠』コレクションを、怡菲に台無しにされてしまうのではないかと危惧して――。
(お父様……。ちゃんと、言ってくだされば良かったのに。一花を待つためだけに日本貴賓翡翠を立ち上げたことを怒って、何か理由をつけて俺を貴賓翡翠から追い出したいんだと思っていたんですが……。お互いに、言葉が足りませんでしたね)
伯睿はフッと小さく微笑んだ。
その笑みに、怡菲はわっと喜色をあらわにした。
「伯睿! 私が、あなたの最愛の妻になるのよね……?」
「……――は?」
あまりに冷え冷えとした声色に、怡菲は涙を浮かべる。
そんな彼女に困り果てて、伯睿は顔を手のひらで覆った。
「……怡菲。あなたの勘違いと言えど、女性を十年間も待たせてしまったことは謝ります。
――ですが俺の気持ちは、最初から全く変わっていないんです。……俺には、十五年前から山越一花という大切な人がいる。その女性のために、『華翡翠』コレクションを制作した。――それが俺の真実です」
台湾は香港出身の怡菲の行動範囲内だ。彼女を止めることが出来ないのならば、伯睿を遠ざけるほかない。
それもこれも全て、息子が一生懸命育ててきた『華翡翠』コレクションを、怡菲に台無しにされてしまうのではないかと危惧して――。
(お父様……。ちゃんと、言ってくだされば良かったのに。一花を待つためだけに日本貴賓翡翠を立ち上げたことを怒って、何か理由をつけて俺を貴賓翡翠から追い出したいんだと思っていたんですが……。お互いに、言葉が足りませんでしたね)
伯睿はフッと小さく微笑んだ。
その笑みに、怡菲はわっと喜色をあらわにした。
「伯睿! 私が、あなたの最愛の妻になるのよね……?」
「……――は?」
あまりに冷え冷えとした声色に、怡菲は涙を浮かべる。
そんな彼女に困り果てて、伯睿は顔を手のひらで覆った。
「……怡菲。あなたの勘違いと言えど、女性を十年間も待たせてしまったことは謝ります。
――ですが俺の気持ちは、最初から全く変わっていないんです。……俺には、十五年前から山越一花という大切な人がいる。その女性のために、『華翡翠』コレクションを制作した。――それが俺の真実です」