御曹司のとろ甘な独占愛
「ねえ、じゃあこれを尾行するってのはどう? ついでに僕とディナーってことで。僕とキミは友人だから、こういうのも悪くない」

 慧は片手を上げて、タクシーを止めた。

「さあ。早く乗らないと、追いつけなくなるよ?」

 タクシーの後部座席のドアを開くと、一花に乗るように促す。
 迷った末、一花は意を決してそのタクシーに乗り込んだ。

「いいね。キミが笑顔になるような美味しいもの、たくさん食べさせてあげる」

 一花に続いて慧も後部座席へ乗り込みドアを閉める。

《あのタクシーを追って。絶対に見失わないでね》

 慧は「謝謝」の時とは比べ物にならないほど流暢な中国語で喋りだし、蠱惑的な笑みを深めた。
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