御曹司のとろ甘な独占愛
「さて。緊張もほぐれてきたとこだし、本題だな。山越さんは元々、子供の時から翡翠に興味があって、この会社の面接を受けたんだよな? 詳しく聞いても?」
陳支社長の言葉に、一花はこくこくと頷く。
「はい。幼い頃に大切な人から翡翠の指輪をもらったことで、翡翠がとても大事になって、興味を持ちました。翡翠集めが趣味というわけではないので、翡翠はこの一粒しか持っていないのですが……」
一花の右手の薬指には、今にもとろけてしまいそうな、青碧色の美しい翡翠の指輪が輝いている。「貴賓翡翠の社員なのに申し訳ないです」と支社長へ向かって心底申し訳なさそうに頭を下げた。
販売員は皆、貴賓翡翠の販売員としてふさわしいと思わせるようなジュエリーを、何かしら身につけていた。
貴賓翡翠の社内規定では、結婚指輪や婚約指輪、華美過ぎないジュエリー、貴賓翡翠で購入したジュエリーは全て着用して良いことになっている。けれども貴賓翡翠の商品はどれもこれも高価で、社員価格でも一花には手が届かない。
時には心揺さぶられる翡翠もあったが、それは価格非公表の非売品だ。夢を見ても、手にできるような作品ではなかった。
一花は自分にとって大切な一粒を、何年経っても、ずっとその右手の薬指につけ続けている。
陳支社長の言葉に、一花はこくこくと頷く。
「はい。幼い頃に大切な人から翡翠の指輪をもらったことで、翡翠がとても大事になって、興味を持ちました。翡翠集めが趣味というわけではないので、翡翠はこの一粒しか持っていないのですが……」
一花の右手の薬指には、今にもとろけてしまいそうな、青碧色の美しい翡翠の指輪が輝いている。「貴賓翡翠の社員なのに申し訳ないです」と支社長へ向かって心底申し訳なさそうに頭を下げた。
販売員は皆、貴賓翡翠の販売員としてふさわしいと思わせるようなジュエリーを、何かしら身につけていた。
貴賓翡翠の社内規定では、結婚指輪や婚約指輪、華美過ぎないジュエリー、貴賓翡翠で購入したジュエリーは全て着用して良いことになっている。けれども貴賓翡翠の商品はどれもこれも高価で、社員価格でも一花には手が届かない。
時には心揺さぶられる翡翠もあったが、それは価格非公表の非売品だ。夢を見ても、手にできるような作品ではなかった。
一花は自分にとって大切な一粒を、何年経っても、ずっとその右手の薬指につけ続けている。