御曹司のとろ甘な独占愛
「こいつのようなロウカン翡翠だと、極上ランクの翡翠の中でも稀少だ。大きな“当たり”の原石から、ほんの一粒分取れるかどうかわからない。
 ロウカンの特徴は、まあ販売員なら知ってると思うが、このトロリとした光沢と艶だ。こいつは特に、今にもとろけそうに透き通っていて、インクルージョンが全くない。
 この透明度だと……本当に幾らするかわからないぞ」

「えぇええ!?」

 一花は内心、「伯睿はなんてものをくれたの!?」と今になって手が震えだした。

(艶も美しくて高価そうとは思っていたけど、まさか、そんな! あの頃は十歳くらいだったし……っ!
 ああ、私、そんな高価なものを、「好きな人からもらったものだから、ずっとつけていたい」なんて気持ちで、毎日使っていたなんて……! 伯睿、ごめんなさい……っ!!)

 一花はオロオロしながら、両手をすり合わせて翡翠を拝んだ。

 そんな様子の一花を、陳支社長は爆笑している。
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