御曹司のとろ甘な独占愛
そろりと伯睿を盗み見る。するとこちらを見ていたらしい伯睿と、パチリと目が合った。
そうして、彼はまるで、愛おしい人の名前でも呼ぶように、蜂蜜のような甘い笑みを浮かべて言ったのだ。
「いちか」
それを真正面から見てしまった一花は、首から上を真っ赤にする。
(――あ。わたし、ハクエイのことが……好きなんだ)
想いを唐突に自覚した途端、世界の色が変わった。
「ここに、俺の名前も書いていい?」
「も、もちろん!」
テーブルの上に開いていた日記帳を、微かに震える指先で、伯睿の前に滑らせる。彼は教科書のお手本のような字を書いた。
新しいページに並んだ山越一花と劉伯睿という字を見ながら、一花は、トクリと鳴る胸を抑える。
「俺の名前は、劉伯睿って書くんだ。中国語での発音は別にあって、ハクエイは日本語での読み方。お祖父様が付けた」
「伯睿のお祖父様は、なんで日本語での読み方をつけてくれたの?」
「お祖父様は日本人なんだ。だけどお祖父様は劉家に婿に来たからって、日本語を話さなかった。だからお父様も俺も、日本語は話せない」
そう言って苦笑すると、伯睿は一花にねだるように少しだけ首を傾げた。
「……ねえ、一花。俺の名前も呼んでくれる?」
「え? ……はくえい」
「わあ、日本語の響きだ。懐かしいな。……ねえ、もう一回だけ」
「は……伯睿……っ!」
「うん。もっと」
正面から伯睿にじいっと見つめられる。
そのとろけるような甘い視線に、一花は焦げるような想いがした。
「なんか恥ずかしいよ!」
「ふふっ。可愛い」
「もう! からかわないで下さいっ!」
まるでパーカー家のホットミルクみたいに甘い空気に、一花はぷりぷりと怒りながら抗議した。
そうして、彼はまるで、愛おしい人の名前でも呼ぶように、蜂蜜のような甘い笑みを浮かべて言ったのだ。
「いちか」
それを真正面から見てしまった一花は、首から上を真っ赤にする。
(――あ。わたし、ハクエイのことが……好きなんだ)
想いを唐突に自覚した途端、世界の色が変わった。
「ここに、俺の名前も書いていい?」
「も、もちろん!」
テーブルの上に開いていた日記帳を、微かに震える指先で、伯睿の前に滑らせる。彼は教科書のお手本のような字を書いた。
新しいページに並んだ山越一花と劉伯睿という字を見ながら、一花は、トクリと鳴る胸を抑える。
「俺の名前は、劉伯睿って書くんだ。中国語での発音は別にあって、ハクエイは日本語での読み方。お祖父様が付けた」
「伯睿のお祖父様は、なんで日本語での読み方をつけてくれたの?」
「お祖父様は日本人なんだ。だけどお祖父様は劉家に婿に来たからって、日本語を話さなかった。だからお父様も俺も、日本語は話せない」
そう言って苦笑すると、伯睿は一花にねだるように少しだけ首を傾げた。
「……ねえ、一花。俺の名前も呼んでくれる?」
「え? ……はくえい」
「わあ、日本語の響きだ。懐かしいな。……ねえ、もう一回だけ」
「は……伯睿……っ!」
「うん。もっと」
正面から伯睿にじいっと見つめられる。
そのとろけるような甘い視線に、一花は焦げるような想いがした。
「なんか恥ずかしいよ!」
「ふふっ。可愛い」
「もう! からかわないで下さいっ!」
まるでパーカー家のホットミルクみたいに甘い空気に、一花はぷりぷりと怒りながら抗議した。