御曹司のとろ甘な独占愛
 一花は伯睿から握られた手をぎゅっと握り返す。
 笑顔を取り繕って、「日本語、すごくお上手ですね!」と天気の話でもするような声音で、伯睿へ話しかけた。

「いつか一花と再会できたら、本当の一花の言葉を聞いてみたいな、と思って。あれからすぐに勉強したんです。こうして願いが叶って、良かった」

 伯睿はそう言って、一花の手をきゅっと握る。

「あ、……その、ごめんなさい。私は、中国語が全然できなくて……!」

「ふふっ。心配いりません。俺がみっちり授業してさしあげますので」

 悪戯っぽく微笑むと、「さ。乗って下さい」とドイツメーカーの白いセダンの前で立ち止まった。人生で一度も乗ったことのないレベルの高級車に、一花は目をぱちくりさせる。

 伯睿がドアを開けて、右側の助手席に促す。

「どうぞ」

「お、おじゃまします……」

 一花は自分の靴が車を汚してしまわないか心配になりながら、恐る恐る乗り込んだ。
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