御曹司のとろ甘な独占愛
 伯睿は誠実な視線で一花を見つめ、彼女の肩を支えるように両手をそっと置いた。

「きみがとっても臆病なロマンチストなのは知っています。でも、そんなきみの幸せを、静かに願い続けるだけの日々は……もう、俺には限界なので。
 儚い恋は、今日でやめて。――俺だけの女の子になってくれませんか」

 伯睿の真剣な眼差しには、十五年分の焦がれるような愛情と切なさが滲んでいる。
 一花は、ぎゅうっと喉元をせり上がってくる切なさを、抱きしめるように胸を押さえた。

(朝顔の意味が、ちゃんと伝わっていたなんて……!)

 両目がじんわりと熱くなるのがわかった。
 ぽろぽろと温かい涙がこぼれる。

(……諦めなくて、良かったんだ……っ)

 魔法がかかったようなこの瞬間を積み重ねていける嬉しさが、胸いっぱいに満ちる。

 一花は伯睿への想いを精一杯こめて、美しく微笑んだ。

「…………はい……っ!」

「……今度は、絶対に逃がしませんから」

 伯睿は静かに一花を抱きしめる。

 そうっと甘い視線を絡ませると――唇に、誓いのキスをした。

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