御曹司のとろ甘な独占愛
 この部屋は一花の好きに使って下さい、と案内された部屋には、伯睿によってすでにトランクが運び込まれていた。

 室内には広いウォークインクローゼットがあり、一花のために新しく買い揃えたドレッサー、テーブルセット、本棚などが置いてある。

 一花はトランクを広げて、感慨深げに洋服を取り出した。

(まさか、伯睿と恋人同士になれるなんて……っ!)

 日本にいた頃の自分には、予想も出来なかった。期待していたレベルを軽々と超えて、こんな夢みたいな状況になるなんて。

 頭が全く追いつかない。

(それに、伯睿の家にホームステイ……じゃなくて、一緒に住むことになってるし……)

 未だに、自分が伯睿の家にいるということが、半ば理解できていない。
 夢心地のまま、手渡されたこの家のカードキーを見つめる。

 このカードキーがあれば、自宅のある階、共用施設のある階、一階のロビー、地下駐車場へ行ける。

 伯睿から説明を受けたところによれば、このマンションではコンシェルジュサービスが受けられる他に、ハウスキーパーも常駐していて、頼めばホテルのように部屋の掃除に来てくれるらしい。

 他には共用施設にフィットネスジム、ライブラリー、バーラウンジ、プールなど、住人が自由に使える施設があるそうだ。
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