御曹司のとろ甘な独占愛
 一花は「場違いすぎて、絶対利用できない……!」と身震いした。

(この家だけでも緊張感が凄い……ていうか、あれ? ベッドがない??)

 着ていたスーツからブラウスとフレアスカートに着替えながら、部屋を見回し、はたと気がついた。

 ――コン、コン、コン。

「一花? 準備はできましたか?」

 伯睿が外からドアをノックする。
 一花は慌てて鏡で全身をチェックして、「はい! 大丈夫です!」と返した。

 ドアがガチャリと音を立てて開かれ、伯睿が部屋へ入ってくる。
 一花の前に立つと、伯睿は微笑んだ。

「スーツ姿も新鮮で素敵でしたが、そのお洋服も大人の女性らしくて素敵ですね。どちらの一花も、俺の好みですが」

 一花は火照った顔を隠すようにうつむく。

「恥ずかしいから、そういうことは言わないで下さいっ」

 照れ隠しをしているのが可愛らしくて、伯睿は一花の頭をよしよしと撫でた。
 暫くされるがままにされていた一花は、上目遣いで伯睿をちらりと見上げる。

「……あの~、生活用品が必要なので、色々と案内してもらいたいところがあって」
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