御曹司のとろ甘な独占愛
 必要な品々を購入するために訪れたのは、大きな百貨店だった。

「女性が購入する物がどんなものかわからなかったので……。ここなら、一箇所でほとんどの物が揃うと思いますよ」

 そう言った伯睿のとなりで、かっちりとスーツを着込んだ女性が頭を下げる。

「本日より、一花様の担当をさせていただきます、王(ワン)と申します。どうぞ宜しくお願い致します」

「よ、宜しくお願い致します……?」

「一花様は本日台北へお引っ越しされてきたとお伺いしております。御必要な物がございましたら、すぐにご用意致します。なんなりとご用命下さい!」

 王さんの流暢な英語での挨拶とキリリとした立ち居振る舞いに、一花は反射的に背筋を伸ばす。
 この場の雰囲気に気圧されて、伯睿に「この方はどなたですか?」とは聞けなくなってしまった。

 王さんに案内されるがまま、フロアの奥へ通される。
 いくつか扉を通り過ぎ、一つのお部屋の前で立ち止まった王さんが、ドアノブを押し開けた。
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