御曹司のとろ甘な独占愛
 買い物が終わった後は、そのままレストランで食事をすることになった。

 一花は夕食の席でも、改めて感謝の言葉を述べる。

 ずっと御礼を言いながら食事を続ける一花に、「これからの食費や生活費は俺が全て持ちます。あれも生活必需品ですから、本当に気にしないで下さい」と伯睿は苦笑する。
 その伯睿の申し出に、一花はまた恐縮しきりだった。


「それで、あの……とっても言い難いんだけど、これからの食事は……?」

 生活費をもってもらう手前、贅沢なことを言うつもりはない。ただ、どんなペースで食事を作るべきか、気になったのだ。

「ああ、俺は料理が出来ないので。食事は基本的に三食外食です。だから今後もレストランで済ませて――」

「えええっ!? 三食外食!?」

 一花は驚きが隠せない。

(外食ばっかりしてたら絶対栄養が偏っちゃうよね? それにそれに! 将来の健康とか、本当に大丈夫なの!? 食費も凄くかかっちゃうんじゃ……!?)

 その後も一花の中の疑問は尽きず、「食事は私が担当します!」と力強く宣言した。


 そのまま帰りに、百貨店の地下に入っていた海外食材の揃うスーパーマーケットへ寄る。
 必要以上に洋服類を買ってもらい、夕飯までご馳走になった一花は、伯睿のお財布事情が心配になりながら、遠慮がちに食材を買い込んだ。
 ちょっとだけ、スーパーマーケットの雰囲気に安心してしまったのは内緒だ。

「これも全部、後でまとめて届けてもらいますか?」

「いいえ! これは持って帰ります!」

 紙袋に入った食材を、一花は慌てて伯睿から隠すようにして抱きしめた。
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