御曹司のとろ甘な独占愛
 買い込んできた食料を、空っぽの冷蔵庫の中に直し終えると、伯睿がリビングへ戻ってきた。

「お風呂の準備ができたので、お先にどうぞ」

「ありがとう! じゃあ、お先に失礼します」

 キッチンからリビング、廊下へ抜けて、伯睿のベッドルームへ案内される。

「メインバスルームは、ベッドルームの奥です。何かあったら呼んでください」

「はい!」

 一花は緊張しつつ、足を踏み入れる。中央にクイーンサイズのベッドが置かれたその部屋は、天井を暖かい色の間接照明が照らしている。心地良い睡眠がとれそうな雰囲気の部屋だった。

(今日から、ここで、伯睿と一緒に寝るなんて……!)

 火照ってきた頰に手で押さえ、一花は足早にバスルームへ逃げ込む。
 すると鏡の中には、林檎のように赤い顔の別人が潤んだ瞳で立っていた。

 思わず鏡に映った自分の顔を見てしまい、「ぎゃっ」と色気のない悲鳴を上げる。一度も見たことがない自身の表情に、一気に羞恥心が膨れ上がった。

 洗面室の広い鏡に映し出された自分の姿を見ないよう、一花は手早く服を脱いだ。
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