御曹司のとろ甘な独占愛
 とくりとくりと大きく鳴る心臓の音が一花へ聞こえないように、伯睿はわざと涼しげな顔をして、長い睫毛をふるりと震わせた一花を上から眺めた。

「そうだな…………」

 悪戯っぽく前置きをしてから、一花の顎へ掛けていた指先をそのままに、遠慮なく口を開く。

「では、今日は間違えなかったご褒美ってことにしましょうか」

「えぇえっ!? なんでそうなるの! 今日こそは逃げられると思ってたのに……っ」

 一花の作戦は半ば成功したようなものに思えたが、伯睿の方が一枚上手であったらしい。

 目を逸らしていた一花の視線がこちらを向いた瞬間、伯睿は少し強引に唇を寄せる。一瞬目を見開いた一花は、全てを絡めとるような口づけに翻弄され、目の前が熱くなるのを感じた。

 一生懸命に目を閉じて、何かに堪えているようにも見える一花の唇を味わいながら、伯睿は甘い独占欲に酔いしれる。

 息継ぎをするように薄っすらと開かれた彼女の唇に、じんわりと柔らかな舌先をさし入れた。
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