不誠実なカラダ
数分経って、部長がバスルームのドアをノックした。

「高杉、大丈夫か?」

私の涙が、ピタッと止まった。

カチャッとドアが開いて、部長がバスルームに入ってくる。


バスタブに小さく縮こまっている私を見て、部長はもう一度、バスタブに入ってくれた。

「はぁーあ。風呂はいいな。」

そう言って、両手でお湯をすくい、顔を洗った。

「特に女と入る風呂は、天国に近い。」

私は、不覚にも笑ってしまった。

「うわっ。笑ってる。」

「だって、部長が変な事言うから。」

「変かな。」

「変ですよ。心とだったら、分かるけれど。」

わざとそう言うと、部長は私を抱き寄せた。


「悪かった。今の俺の目の前にいるのは、高杉おまえなのに。」

胸がキュンとなる。

「いいですよ。そんな無理しなくても。」

私は部長から離れると、バスタブから出た。

すると突然、部長が私を後ろからお姫様抱っこした。
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