不誠実なカラダ
ちょっとからかったつもりなのに、心は微笑んでいる。

「あれ?否定しないの?」

「否定って……付き合ってるんだもん。そういう事もあるでしょ。」

私は、親友の恋が発展している事に、喜びを感じた。


「もう!ご馳走様!」

私は、指で心の頬を突いた。

心も笑っている。

部長には悪いけれど、親友には幸せになってほしいからね。


あっ、そうだ。

部長と言えば……

「そうだ、心。」

「なあに?」

心は、スケジュール帳を開いた。

「尚太と、何かあったの?」

「別に。何もないけど?」

心の手が、ふいに止まった事を、私は見逃さなかった。


- 今朝、一緒に歩いているところを見て -


まさか、ね。


「うん。さっき、部長に尚太の事、聞かれてさ。」

「部長に?」

心はちらっと、部長の方を見ている。

なに?

何か、やましい事でもあるの?

「えっ、でもどうして部長は、環奈に尚太君の事、聞くの?」
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