不誠実なカラダ
逆に心に聞かれて、一瞬たじろいだ。

「一時期、尚太の事、部長に相談していた時があってさ。」

「部長に!?」

心、すごく驚いている。

どうして?

どうしてそんなに、驚くの?


「まあ、それで部長と仲良くなったんだけどね。」

そう、あの日の夜。

私と部長の関係は、始まった。

体を埋めるだけの……

ちらっと心を見ると、私の方を見ていた。

わざと、笑顔を見せる。



「……環奈はさ。尚太君の事、忘れたの?」

私の中に、何かが走った。

尚太を忘れる?

尚太を……

そんな時に限って、優しい尚太の笑顔を思い出す。


「正直、まだ好きだよ。」

「環奈……」


そうだよ。

自分で振っておきながら、”好きな時に来ていいよ”なんて。

そんなに、私の気持ちが分かるような男、他にはいない。

けれど……

そんな尚太だから、忘れなきゃ。
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